ゲル太郎ブログ

スキンケアなど感じたことをつらつらと。

防腐剤フリーの化粧品は消費者への忖度という話

無添加は死んだ。

みたいなちょっとカッコつけたお話を以前の記事でしましたが、防腐剤も同じようなことが言えます。

防腐剤フリーの化粧品が危険なのは、防腐効果を持たせるためにかえって刺激の強い物質が含まれることもあるからです。

 今回は防腐剤とスキンケアコスメのお話をしていきます。

 

防腐剤フリーはウケがいい消費者への忖度

化粧品を販売する企業も売れてなんぼの世界です。

「みなさんの肌を美しく!」というのは表向きの世界で、利益を上げないと会社が潰れてしまいます。

 

そのため、ある程度消費者に忖度しないと売り上げが厳しくなるわけです。

その1つが無添加無添加の1つである防腐剤フリーがあります。

防腐剤=肌に悪いというイメージがあるため、防腐剤をできるだけ使わないという方向にして防腐剤フリーをうたったりすることで、安全性をアピールすることになります。

 

防腐剤フリーのきっかけは防腐剤のパラベン

パラベンは防腐剤の一種で安全性が高く抗菌性も高く幅広い菌へ作用します。しかも原料として安いため、化粧品業界としては使いたい防腐剤です。

 

しかし、1980年にアレルギーなどを引き起こす可能性がある成分に表示義務を設けられたことでパラベンは102種類の表示指定成分に含まれることになります。

2001年に全成分表示が義務づけられた後も旧指定表示成分という悪いレッテルを貼られることになるのです。

 

またパラベンは海外の研究では女性ホルモン・エストロゲン様作用(のような働き)がある物質であることがわかっており、内分泌かく乱物質であると疑われる結果があります。

2004年にはDarber氏の研究で乳がん患者の腫瘍組織からパラベンが検出されたことが報告されいて、制汗剤などの使用による可能性を示唆しています。

ただ、パラベン乳がんを誘発したという直接的な研究結果はなく、あくまでも憶測の域を出ていないのが現状です。

 

一方で同じエストロゲン様作用がある大豆イソフラボン乳がんリスクを下げるという報告もあります。

このことからパラベン=発がんというより女性個人の女性ホルモンの分泌によって左右されている可能性やパラベンは直接的に関係ないと考えることもできます。

 

パラベンフリーの流れを生んだのは信頼性が低い研究が新聞にのったことが原因

パラベンフリーの大きな流れができたの2005年8月25日に朝日新聞に掲載されたメチルパラベンが紫外線老化を早める作用があるなどの内容の記事です。

ただ、この研究はメチルパラベンを100%の濃度で使っていて、化粧品への配合上限は1%です。また、0.25%以上だと刺激を感じる方もいますが、化粧品の配合では平均で0.12%です。多くても0.5%で抑えられています。

 

そのため、化粧品にパラベンを使用することを想定した研究ではなく、信頼性がありません。

推測ですがむしろパラベンフリーの流れを作って儲けを生み出そうという可能性さえ感じられます。

実際パラベンと紫外線の関係についてはアメリカの研究で皮膚に影響がないことがわかっています。

 

しかし、流れは止められません。一般の消費者はこのような濃度の違いがわかるわけがありません。そのため、噂レベルで話が広がってパラベン=悪いものであるというレッテルが貼られることになります。

ちなみにこの研究に対して上野製薬株式会社は妥当性を欠いていると反論しています。

http://www.cosme-rurica.com/mechiruparaben.pdf

 

パラベンの安全性と忖度によるパラベンフリーの誕生

実際のところパラベンは上野製薬の主張する通り、以前から多数の試験が行われており、何度も使った際の毒性や刺激性、光毒性、発がん性など幅広く安全性が確認されていています。

一方で、詳しい方であればメチルパラベンの分子量は152.15なので、浸透性があり危険なのでは?と感じる方もいるかもしれません。

ただ、メチルパラベンは水溶性であるため、皮膚への浸透は難しいことや仮に皮膚に残ったとしても代謝されるものであるとされています。

 

結局のところ今でもパラベンフリーなどが主流になっていることを考えると、真実は報道されずに誤解されやすい内容だけが消費者に広まり、化粧品会社が消費者に忖度する形でパラベンフリーが生まれることになります。

 

防腐剤フリーが危ない理由

パラベンフリーの話が長くなりましたが、防腐剤フリーをうたうためには実は防腐剤と国から指定される成分を避けることで可能です。

ただ、その場合はパラベンより防腐効果が劣っているものを使うことになるので、防腐剤の量が多くなります。

つまりはパラベンより肌への刺激になる可能性が上がるということです。

 

また、別のパターンとして化粧品は何も表記しない場合、未開封で3年間品質が保持されるように作られますが、未開封で2年と表記されるような防腐剤を減らしたコスメもあります。

その場合は劣化が早くなるため、開封後は化粧品の中で菌が繁殖しやすく雑菌がついた化粧品を使って肌荒れに繋がる可能性もゼロではありません。

防腐剤フリーと言えば聞こえが良く安全性が高かそうに思えますが、実はリスクもあるということです。

 

まとめ

パラベンフリーなどの防腐剤フリーはエビデンスが信頼に値しない研究を新聞が報道してしまったことによって、広がりを見せたことがはじまりです。

投資の世界であれば風説の流布ともとれる内容ですが、防腐剤フリーはそれ相応のリスクを負うことになるのは覚悟しておく必要があります。

最近オールインワンゲルでは、防腐剤の使用を減らせるように空気が入らないエアレスボトルタイプのものもあるので、防腐剤フリーへの回答はコスメの成分配合の調整だけではなさそうです。